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Monday, August 21, 2017

脊椎サブラクセーションの私的考察 part 7

1895年にカイロプラクティックが創始され、創始者のD. D. Palmerは

「病気の原因をついに突き止めた」

と声高らかに主張した。

元々、病気や症状を治療することを目的としていたD. D. Palmerは

「病の95%は脊椎サブラクセーションから来るものだ」と主張していたわけだが、

実際はどうなのだろうか?



私は同意しない。

むしろ、脊椎サブラクセーションは単なる生理現象の一つであって、病の根源そのものではない。



例えば、
一日中草むしりをした人の腰痛は、脊椎サブラクセーションから来るのだろうか?
交通事故による体調不良は、脊椎サブラクセーションから来るのだろうか?
高血圧は脊椎サブラクセーションから来るのだろうか?
糖尿病は脊椎サブラクセーションがあるから起こるのだろうか?
難病は脊椎サブラクセーションが原因で起こるのだろうか?

その他、無数の病は脊椎サブラクセーションがあるから起こると言えるのだろうか?

その人の日々の選択、限られた肉体によって病というひとつの生理現象が起こるだけだ。



しかしながら、脊椎サブラクセーション状態から抜け出した人が、多くの奇跡と言われる回復を見せてきたことは事実。

それは単に、カイロプラクティックケアによって脳と全身の情報交換の変調が正常化され、生理機能が変化し、ケースによっては構造まで大きく変化しただけだ。



それが一般的に「治癒」と言われるだけで、

カイロプラクティックが問題とするのは脳と全身の情報交換変調のみであり、

望む結果も、脳と全身の情報交換変調の正常化(脊椎サブラクセーション状態からの脱却)

でしかない。




従って、残念ながらD. D. Palmerの主張するように、病の元凶を絶つのがカイロプラクターの仕事ではない。

生理機能の変調の原因となる脊椎サブラクセーション状態(情報交換変調)を取り除くことがカイロプラクターの真の仕事だ。



なぜ私が、創始者の言ったまま全てを解釈せず、行動しないのかには理由がある。

それは、
D. D. PalmerやB. J. Palmerの言ったことよりも、
D. D. PalmerやB. J. Palmerの言いたかったこと、やりたかったことにフォーカスしているからだ。


D. D. Palmerは医療と一線を画す独自のものを確立したかったが、
カイロプラクティックの独自性を確立する前に広めることに躍起になって生命を全うした。

B. J. Palmerは父親の発見したカイロプラクティックの独自性を確立しようと客観的な指標を取り入れ、
貪欲に研究と改革と啓蒙に命を使った。



現代を生きるカイロプラクターはカイロプラクティックケアを提供することはもちろん、

創始者、発展者の言ったこと、やったことそのものにフォーカスするのではなく、

彼らが言いたかったこと、やろうとしていたこと(意志)を汲み取ってそれを実践することの方が重要だと考えている。



脊椎サブラクセーションの私的考察を行う上で、未だに触れていない"あるもの"がある。

part 8 では、その重要な"あるもの"について展開していこうと思う。


Friday, August 11, 2017

脊椎サブラクセーションの私的考察 part 6

脊椎サブラクセーション状態とは一体どう言った状態なのか?というのをpart 5 では見てきた。


人は必ずと言って良いほど脊椎サブラクセーションの"原因"を知りたがるので、それを私なりに考察する。



創始者D. D. Palmerは、脊椎サブラクセーションの原因は3つのTと定義した。
Thought: 思考(精神的)
Trauma: 外傷(物理的)
Toxin: 毒(化学的)
以上の3つのストレスが脊椎サブラクセーションの原因となる、と。



それらのストレスによって身体を害することを防ぐために、外界と内界を情報化し、
各状況において身体を変化させる必要が出てくる。


その過程において神経系を使うわけだが、part 5 でも述べたように情報化には健全な神経機能が重要となってくる。



<物理的なストレス(Trauma)>

この場合は実際の物理的な衝撃により組織を破壊され、

その治癒作用によって瘢痕組織が形成されたり、継続的な同様のストレスに対して構造的な負荷を減らすために変形したりする。

それによって椎骨の位置変位が起こることは容易に想像できる。



<精神的なストレス(Thought)>

この場合では、後天的に得た思考回路が結果的に椎骨の位置変位を起こす。

ストレスに対する反応として特定の神経サーキットを用いるわけだが、その反復よって神経機能の偏向性が生まれ、それが身体的な動きの偏向性を生む。

それによってある特定の動きを繰り返すことによって構造的な変化を起こし、脊髄に物理的ストレスを与えてしまうわけだ。



<化学的なストレス(Toxin)>

これは直接的に神経に作用する場合や、特定の毒物(生命活動に利用できないor生命活動を阻害するもの)に対する身体反応があり、

それによって神経機能および骨格構造、そして行動に偏向性をもたらし、結果的に脊髄に物理的ストレスを与えると考えられる。






どの原因に関しても、一時的な神経機能変調では脊椎サブラクセーション状態には陥らない。

必ず、"継続的な"反復によって機能と構造の変化を起こし、ある程度不可逆的な変化に至るまでは脊椎サブラクセーション状態に陥ったとは言えない。



従ってカイロプラクターは、一時的で単調な機能検査やスナップショット(x-ray)で脊椎サブラクセーション状態を判断していては、間違いを犯す危険性を孕んでいる。

単に機能が低下していたものがアジャストメント後に回復した、向上したという安っぽく(Cheap)、安易(Easy)なものではない。




必ず『時間』をかけて、その人が一時的な機能変調なのか、それともある程度不可逆的な変調(パターン)なのかを見極める必要があるわけだ。



さて、各ストレスが継続的な反復によって機能的、構造的な偏向性を生みだし、
それが脳と全身の情報化、情報交換の変調を引き起こす機序は説明した。

そこで、情報交換の変調が当初 D.D. Palmerが主張した病気の原因となり得るのか。


part 7 では、そのことについて論じていきたい。




Saturday, August 5, 2017

脊椎サブラクセーションの私的考察 part 5

実際に椎骨の位置変位が神経機能に影響を与えることは論理的に理解出来たところで、

ではその神経活動(電気的活動)がどのように「メッセージ」として編集されやり取りされるのだろうか?


「メンタルインパルス」=「メッセージ」と言うと現実味に欠けるので、

「メッセージ」=「情報」と言い換える方が適切かと思う。



その情報はどのようにして脳に伝わり、脳から全身に送られるのか?

これは未だ完全に解明されたわけではないが、「神経コーディング」という研究分野がこれを解明しようとしている。


コーディング、つまり符号化、暗号化という意味で、

活動電位の一定時間内の発火頻度や伝達経路によって出入力の性質を暗号化し、

情報をやり取りするという研究分野だ。



興味のある方は、参考になりそうなウェブ上にある資料を参照願いたい。



D. D. Palmerが提唱した「神経は"振動(vibration)"を伝える」 というコンセプトは、

実際は電気的な信号で伝えているのだが、神経の発火頻度=周波数として解釈すれば間違いではないことがわかる。



この神経の周波数=神経の発火頻度に着目したのがトルクリリーステクニック創始者のJay Holder D.C., M.D.だが、彼のコンセプトもまた不完全ではある。

彼は神経のあるべき周波数は5の倍数であると定義しているが(神経の種類によって違う)、

その根拠に乏しい。




さて、どのように外界からの入力を情報に加工、処理、そしてそれに対して情報として出力するか?

という機序は、神経コーディング、ディコーディング(暗号解読)の研究が進むことによってさらに明らかになっていくことだろう。



ただ確実に言えるのは、
神経への物理的ストレス(圧迫、伸張)によって神経機能の不健全化(TND)を促し、それによって情報化に"変調"が起こり中枢と末梢の情報交換(適応変調:Dis-ease)が導かれる。 
 ということだ。


さらに簡潔に言えば、
脊椎サブラクセーション状態は、脳脊髄と全身の情報交換変調状態   
ということだ。


さてここでまた浮上するのが、脊椎サブラクセーション状態の原因だろう。

それはpart 6 で見ていくこととする。